潜在的なユーザーをどう振り向かせる? コーセー×All Aboutのターゲット別アプローチ

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オールアバウトでは、クライアント企業のタイアップ広告記事を制作するだけでなく、施策の効果検証から新たなコンテンツの切り口を発見するなど、データを活用したコンテンツ制作を支援しています。今回はContentDigで初めて、一連の広告出稿事例の舞台裏をご紹介します。

対象となった商品は、コーセーのシワ改善クリーム「ONE BY KOSÉ THE WRINKLESS」。シワを改善する、と明確に謳える商品自体がまだ数えるほどしか発売されておらず、立ち上がったばかりの市場です。特に課題となったのは、“潜在層”への商品理解。そこで、先行してAll Aboutで実施していた同社の別商品のタイアップ記事の反響を手掛かりにユーザーをセグメントし、すでにシワに悩んでいる40代以上の顕在層と、まだはっきりと認識していない30代以下の潜在層に分けて記事を制作し、関心度合いやモーメントに合わせて配信しました。

「もともとコーセーでは、試行錯誤しながらマスとデジタルの広告投資を最大化する戦略を立てていた」と、宣伝部 宣伝企画・PR課の千葉拓也氏は語ります。その戦略と、タイアップ出稿先として重視していた条件、また一連の施策の結果についても詳細にお話しいただきました。

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株式会社コーセー 宣伝部 宣伝企画・PR課 千葉拓也氏
2004年に生産部門技術開発職でコーセー入社。2008年より広報部門にてコーポレートサイトの運営を担当。
2014年から現在の宣伝部門に配属。ワンバイコーセーのコミュニケーションや宣伝担当とデジタル出稿バイイングを担当。

 

ー美容や化粧品の情報は、All Aboutでも人気のあるカテゴリのひとつですが、そのニーズや悩みは人によってとても細分化しています。次々と新商品や新しい切り口が生まれている化粧品業界の競争は、非常に激しいのではないですか?

 おっしゃる通り、化粧品業界の競争は熾烈ですね。当社も日夜、新しい機能や成分の研究開発に力を入れていますが、お客様が化粧品に求めるものは決してスペックだけではないので、「どう情報を伝えるか」の重要性が年々増していると感じています。

新商品、さらにお客様になじみのない新規カテゴリの商品の場合は、特にそうですね。広告クリエイティブの表現が大切なのはもちろんですが、かつてのようにマス広告で知って店頭で買う、という典型がもう通用しない中、お客様の気持ちや態度変容に沿ったきめ細やかな情報の届け方、それができる媒体選びも大きく売上を左右する時代になっていると思います。

理解促進のチャネルとしてデジタルメディアを重視

 

ーそうした市場環境の下、コーセーでは新商品発売の際、近年どのようなコミュニケーション戦略を立てられているのでしょうか?

新商品の場合、購買に至るまでに「知ってもらい」「理解を深めてもらう」という2段階が必要なのは昔も今も変わっていないと思います。これが王道ですね。また、最初の認知の段階でマス広告、特にテレビCMが有効なのも、同じです。マス広告が効かなくなっている、ともいわれていますが、やはり我々のようなターゲットが広い商品の場合、リーチを考えるとテレビCMの効果はまだまだ大きいです。とはいえ、媒体費も当然大きいので、限られた予算内でいかに効果的に打つか、またそこでリーチした方々をいかに減らさず理解促進につなげ、購買まで至っていただくかが重要になります。同時に、マス広告のリーチに比べて母数は少なくなりますが、そもそも入り口からデジタルで接触する方法も模索しています。

ーでは、2段階目の「理解を深めてもらう」際のチャネルは?

 いちばんは、店頭ですね。百貨店やドラッグストアなど、我々の商品を扱っていただいている店頭にはたいてい当社の美容スタッフがいますので、お客様一人ひとりの悩みを聞きながらアドバイスできる店頭の力は今も強いです。ただ、一方で属人的だからこそ接客に多少の差も出てきますし、お客様によっては対面接客を好まれない方もいます。

 そこで、近年この「理解促進」段階で店頭と並行して注力しているのが、デジタルチャネルなんです。いくつかありますが、まず第一に、ブランドサイトですね。我々が伝えたい情報を、ブランドの世界観の中で正しく紹介できるブランドサイトは、中心的な場と捉えています。

ただし、ブランドサイトの来訪者は指名ワードで検索する方なので、すでに当社の顧客だったり、商品に高い関心がある層といえます。そうではない新規ユーザーや潜在層にアプローチする場としては、ブランドサイトはなかなか機能しません。そのため、第2のチャネルとして位置付けているのが、All Aboutのような第三者メディアです。具体的には、タイアップ記事広告の出稿ということになりますね。

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効果検証のスキーム構築に協力を得られるかどうか

ーなるほど。化粧品だと、出稿先候補にもさまざまな媒体があると思いますが、なにか条件や基準などを設けられているのでしょうか?

 単純に種類という点だと、化粧品の場合は「美容専門メディア」と「一般向けメディア」に大別されます。それぞれ良さがあるので、訴求する商品や市場の状況などによって使い分けていますね。例えば美容専門メディアは、当然ながら美容に関心のあるユーザーを多く捉えているので、より深い情報を届けることができます。ただ、美容雑誌から派生しているメディアも多いので、デジタルネイティブのメディアと比べるとどうしても、KPI設定や数値の開示などに後れをとっている印象もあります。

 一方で一般向けメディアには、そもそも「美容の情報がほしい」というモーメントではない方が多く来訪しています。もちろん、商品ターゲットになり得る女性層が多く来訪していることは前提ですが、日常的な記事を読んでいる中で、ふと接触して関心を喚起できるメリットがあります。特に美容に関心が高くない人から潜在顧客を発掘し、ターゲットのすそ野を広げるためには、専門媒体だけでは足りないと考えています。

 そういう切り分けはありつつ、この数年で特に当社が重視しているのは「効果検証にしっかり併走いただけるか」という点なんです。

 

ータイアップ記事広告の効果検証とは、つまりPVや送客数などの指標からユーザーの反響を計測したり、それについてどのような考察がだせるか……ということでしょうか?

 平たくいえば、そうですね。ただ、最近はあまりPVは重視していません。認知ではなく理解促進のために出稿しているので、PVよりも読了率のほうが意味があると思っています。また、我々はオンラインで完結する直販ECの仕組みも持っていないので、記事がどれだけ直接的に売上に貢献したかをコンバージョンポイントにすることも難しい。そのため、どのような指標をKPIにすべきかという点から一緒に考えてもらいたいという意向があります。

なので、どのように訴求すると理解促進に効果があるか、その検証にはどうすればいいかという課題に一緒に取り組んでくださり、必要な数字を開示いただけること。これが最近の出稿で意識している点なんです。

理想をいうと、同じ商品でも切り口を変えて訴求して、その結果ごとに検証ができれば、次の施策に生かせます。まだまだデジタル施策は模索中なので、今後の我々の戦略立案や施策の切り口の検討に有益な情報を得られるかどうかも、組ませていただく際の大きなポイントでした。

シワ悩み「顕在層」と「潜在層」に分けてアプローチ

 

ーでは、具体的なタイアップ記事広告の展開について、うかがっていきたいと思います。今回の対象商品「ONE BY KOSÉ THE WRINKLESS」は、いろいろな観点でとてもユニークな商品だそうですね?

 はい。まず「ONE BY KOSÉ」というブランド自体、社名を冠している唯一のブランドでして、20161月にアメリカで先行デビューし、その年末に満を持して日本でデビューした大型のラインです。これまでに保湿美容液、美白美容液を発売しているのですが、「ONE BY KOSÉ THE WRINKLESS」(以下、リンクレス)は第三弾であり、かつコーセー初の“シワ改善”クリームです。

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 そもそも、シワを改善する、と明確に謳った商品が市場に登場したのが2017年なんですね。業界大手が相当の広告費とともに市場に投入し、次にもう一社が参入しました。201810月に発売したリンクレスは三番手で、先行者メリットは残念ながら望めない状態でした。

ーユニークではあるが、厳しい状況でもあった、と。

 まさに、そうなんです。正直にお話しすると、マス広告の予算の点でも先行の2社に勝てる状況ではありませんでした。だからこそ、できる限り広げたリーチを極力減らさずに理解促進、そして購買へとつなげたいと考えました。また、先行者メリットは少ないといっても、とても新規性の高い商品なので、商品の存在を知らない潜在的なターゲットはまだまだたくさんいます。顕在層にアプローチしながらも、まだシワにそこまで悩みを持っていない潜在層にリンクレスを知ってもらえれば、チャンスは十分にあると思いました。

 そんな中でオールアバウトの担当者さんから、以前出稿した「ONE BY KOSÉ MOISTURE RICEPOWER」のタイアップ記事広告で得た反応を今回のターゲティングに活かせると聞いて、興味を持ったんです。その際も細かい数字の共有や効果検証に協力してもらいましたが、今回も同様に併走いただけるということで、記事の内容や配信スキームから一緒に考えていくことになりました。

<タイアップ読了率の高いユーザの閲覧履歴を分析>
分析データ例

読了率の高いユーザは、そうでないユーザより「ほうれい線」や「おでこのシワ」に悩みを抱えていた
 

潜在層でも“シワ改善美容液”が購買の候補に

ー過去の施策の結果からユーザーの反応を予測して、「潜在層」にも理解してもらえるアプローチを検討されたのですね。記事の切り口は、どのように設定されたのですか?

All Aboutのシワ関連記事を閲覧しているユーザーやタイアップ記事閲覧ユーザーの傾向から、顕在層向けには「ほうれい線ケア」切り口、潜在層向けには「将来の老け見え予防」切り口に設定しました。また、分析をしていくなかで顕在層でも、美容関連の記事を閲覧しているモーメントと、それ以外の記事を閲覧しているモーメントで求めている情報に差があるのではないかという仮説がでてきました。それぞれのモーメントでアプローチを変えることで、より効果的に商品理解を促すことができるのではと考え、タイアップ記事の内容をシンプルにしたバージョンも制作して、All Aboutの美容関連以外のカテゴリを閲覧しているユーザーはそちらの記事に誘導しました。

<施策のスキーム>

図2-1

 

ー実際の成果はどうでしたか?

 「顕在層×美容関連記事閲覧モーメント」「顕在層×その他記事閲覧モーメント」「潜在層」どのターゲットについても、記事の商品紹介のブロックまでしっかり読了してもらうことができました。平均読了率も70%前後という高い結果となり、前回の読了率をすべての記事で上回る結果になりました。

特に手応えを感じたのは、記事下のアンケートのフリーコメントですね。購買意向などは、当然ながら顕在層ほど高かったのですが、潜在層も5割程度と想定よりも高く、シワ改善というテーマ自体に気づいてもらい、関心を醸成できたと思います。フリーコメントでは、顕在層では深い情報が響いていることがわかりましたし、逆に潜在層では「新しい美容液の候補が見つかった」といった気づきがうかがえました。

通常、関心の高い層に絞り込んだ記事はライトな人には難しくなりがちですし、逆にライトな人向けの記事は関心の高い層にはつまらなくなるので、両方の満足度を高めるのは難しいと思います。今回は、設計時点で適切にターゲティングし、それぞれのニーズやテーマとの距離感に沿った記事を提供したことで、いずれのターゲットでも結果を最大化できたと考えています。

 

<タイアップ記事>

図3

 

ー具体的なお話、ありがとうございました。最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか?

 今回の一連の出稿と検証を社内にも共有したのですが、記事の切り口までデータに基づいて分析し、また検証もできるのだと驚かれましたし、いい反応でした。今後の展望としては、やはり最終的には外部ECチャネルや店頭とつないだ一気通貫の効果測定ができる環境を作りたいと考えています。正しく効果が計測できることで広告費全体の最適化ができるのが理想ですね。また、デジタルではユーザーの興味関心やモーメントに合わせてOne to Oneに近いコミュニケーションを図れるのが理想なので、今後もメディアと協力して新しいアプローチや効果検証の開発に取り組みたいと思っています。

 

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